一般社団法人 日本エリオット波動研究所

Japan Elliott wave research institute

メルマガ第159号全19ページ(令和3年1月23日発行)より抜粋

March 9, 2021
メルマガダイジェストでは、毎号15ページから30ページの分量があるメルマガの中から、その時点での波動の進行想定に関するチャートが掲載された任意の1~2ページを抜粋して紹介しています。 進行想定は随時更新されていくため、現在は別の想定がメイン想定となっていることがしばしばあります。それは最新版のメルマガにてご確認いただけます。 進行想定とは、その時点のチャートをエリオット波動原理のルールやガイドラインに適合させた結果であり、相場予想ではありません。

ここではその判断に示唆を与える可能性があるものとして、TOPIXの長期チャートを改めて見てみたい。(週足)

見て明らかなように、TOPIXはバブル崩壊以降強力なレジスタンスラインに上値を抑えられてきた。1993年9月以来6回(もしくは7回)もそのラインは株価を跳ね返してきたから再現性という観点からは単なる偶然ではなく何らかの意味があるレジスタンスと捉えていいのではないだろうか。

ここで「再現性」という言葉を使ったのは、テクニカル分析の世界では「再現性」が明確に確認されていないことまで、あたかも法則性があるかのように論じられることが実に多いからだ。たとえば過去に2回の事例しかないのに「16年周期がある」とか、イチロー選手が1994年に打ち立てた210本の安打記録も2004年の大リーグでの262本の安打記録も出場試合数で割ると、1.615と1.617になることから安打記録までフィボナッチ比率に支配されているなどという言説である。

しかし現実には王選手のホームラン記録868本やそれまでのホームラン記録だったハンク・アーロンの755本もフィボナッチ数とは無関係であるし、他のスポーツ記録がフィボナッチ比率やフィボナッチ数に関連したという話は聞いたことがない。

イチロー選手の安打記録がフィボナッチ比率に支配されているという人は、昭和25年の日本人20歳男子の平均身長は161.5cmだが、これについてもフィボナッチ比率と関連があるとでも言いだすのだろうか。

単なる偶然の事柄なのにそこにあたかも法則性があるように論ずるのは詐欺師がよく使う手法である。

そういった話は「面白い」が株価分析の「役には立たない」。

 

さて、1月21日現在、このレジスタンスラインはおよそ1940ポイントの位置にある。1月21日の終値が1860.64だから、約4.3%の下方乖離である。つまり、TOPIXはあと4.3%の上昇でこのレジスタンスラインにタッチすることになる。実際のレジスタンスラインは右肩上がりだから、時間の経過と共に現在値との乖離は僅かながら拡大していくが1月21日時点の値で考えるなら4.3%の上昇というのは日経平均終値に当てはめると29993円になる。

仮に当面の期間、TOPIXと日経平均が同じような動きをすると仮定すると、日経平均がちょうど30000円を付けるタイミングとTOPIXがレジスタンスラインにタッチするタイミングはほぼ同時になることになる。

 

ここで一つの仮説を提示したいと思う。

 

それは、もし今回もTOPIXがレジスタンスラインで弾き返されるとすれば、日経平均は30000円付近が当面の天井になるというものだ。

次のチャートは225CFDが30000円付近で天井を付けると仮定した場合のカウント及び進行想定の一例である。(前号のパターン3の類型)(1時間足)

仮にパターン3の動きが実現したとしても、C波の(iv)がこのようにトライアングルになるのか、もしくは(iv)波はすでにダブルジグザグとして完成していて現在は(v)を進行中なのかといったことは現時点では確定的な判断はできない。

 

また、メルマガ第154号では3月のコロナ安値以降のFANGプラスのチャートを次のように提示した。(1時間足)

これは現時点では、次のように更新されている。(2時間足)

また、再三言及しているように個別株のチャートには原則としてエリオット波動原理は適用できないが、たとえばアマゾンやテスラは次のようなインパルスが完成間近に見えなくもない。

 

アマゾン(4時間足)

テスラ(4時間足)

ただテスラに関してはこれまでにも「インパルスが完成しそうに見える」と言ってきたが現時点でそれは実現していないので、全くの見当違いなのかも知れない。

 

ただし、5波部分を拡大すると次のようにカウントできなくもない。(15分足)

また、ナスダック100も次のように3月のコロナ安値を始点とするインパルスが間もなく完成するとカウントすることもできる。(4時間足)

これに関して、メルマガ第154号では次のようにナスダック100の3月のコロナ安値からの波動をダブルジグザグとカウントした。(4時間足)

仮にこのカウントを採用したとしても、次のように終点に到達するタイミングは2つ上のチャートと同じになる。(4時間足)

以上のように、225CFD、ダウ、FANGプラス、アマゾン、テスラ、ナスダック100といったいずれのチャートも間もなく上昇波動の終点に到達するというカウントが可能である。