一般社団法人 日本エリオット波動研究所

フィボナッチが示唆する2017年のNY株価大転換

エリオット波動理論には「フィボナッチ時間数列」という概念もあるとプレクターは言っています。詳しくはお手元の「エリオット波動入門」の187ページに書いてあります。

それによると、スーパーサイクルのオーソドックスな高値をつけた1928年、または名目的な高値をつけた1929年からフィボナッチ数の「年」を足した年は相場の大きな
転換点になっているといいます。

1229+3 = 1932 弱気相場の底
1929+5 = 1934 修正底
1929+8 = 1937 強気相場の天井
1929+13 = 1942 弱気相場の底
1928+21 = 1949 弱気相場の底
1928+34 = 1962 暴落の底
1928+55 = 1983 おそらくスーパーサイクル波のピーク

これはニューヨークダウに関することですが、以上のように書かれています。

では、1983年に実際にピークが訪れたのでしょうか。チャートで確認する限り、小さな「丘」にはなっていますが、ピークとはとても言い難いです。もしもプレクターが「予想通りにピークをつけた」と言ったとしたなら、わたしは今後プレクターの言うことは全く信用しないでしょう。実際にそのことに関してプレクターがどう釈明したのかは調べてみましたが分かりませんでした。2005年の改訂版にも依然として同じ記述があります。ピークと言えるのは4年後の1987年でしょうか。1987年に何があったのかは株をやっている人なら知らない人はいないと思うのであえて書きません(こっそり書くとブラックマンデーがありました)。また、スーパーサイクル級のピークとなれば、1999年か2007年のどちらかであることはチャートを見れば一目瞭然です。

そこで、問題となるのは、その次の転換年です。55のつぎのフィボナッチ数は89ですから、

1928+89=2017年

あれ、今年じゃないですか。いまはまさに月足レベルで見ると上昇相場の真っただ中ですから転換点が訪れるとしたら、ピークが来ることになると思います。

もっともこのフィボナッチ時間数列というものが本当に機能するものなのか、単なるこじつけなのかについては当研究所ではまだ検証できていません。したがって、これを元に相場を予想することもトレードすることもありません。そのうちどなたかがこのことに気付いて「やっぱりフィボナッチは凄い」と言い出すのか出さないのかに注目しています。こういう類の分析記事には恣意的な記述が多いので注意が必要です。

たとえばこのやりかたでは世界金融危機で壊滅的ともいえる暴落があった2009年は出てきません。また、わたしが最近読んだ日本のマーケットに関するあるレポートにも、相場の節目の年にフィボナッチ数を足すと、その年が相場の転換点になるというようなことが書かれていましたが、1989年のバブルのピークというスーパーサイクル級の節目が無視されて、たいした底でも天井でもない年が節目とされていました。まさに詐欺師の仕業というしかありません。法則性のある数字と相場を結び付けるレポートは非常に興味をそそられますが、恣意的で強引な解釈が含まれていることも多いので、まずはご自身で検証してみることが必要だと思います。(有川)