一般社団法人 日本エリオット波動研究所

リーディングダイアゴナルの波動構成に関する考察

リーディングダイアゴナルの波動構成に関する考察

「エリオット波動研究」の88ページには

「リーディングダイアゴナルは基本的には5-3-5-3-5という副次波の構成となりますが、例外的に3-3-3-3-3となることもあります」

という記述があるが、これを

「リーディングダイアゴナルはほとんどが3-3-3-3-3という副次波の構成になっていて、5-3-5-3-5構成のものは極まれにしか出現しません」

と訂正したいと思う。

また、131ページには「5-3-5-3-5」型のダイアゴナルの3波にダイアゴナルが観察されることがあるという旨の記述があるが、この記述は間違いであり削除したい。

このような訂正に至った経緯を以下に説明したいと思う。

 

まず、「リーディングダイアゴナルの副次波が5-3-5-3-5である」というのはプレクターとフロストが著した「Elliott Wave Principle」の記述が元になっている。その邦訳版である「エリオット波動入門」(パンローリング刊)の55ページにも同様の説明がある。

「エリオット波動研究」を執筆していた2016年当時はこの記述を元に波動のカウントを実践していた。そのなかで、どう考えても3-3-3-3-3構成としか思えないリーディングダイアゴナルの出現を観察していた。また、5-3-5-3-5とカウントできるものの、そのようにカウントした場合には3波目がインパルスではなく、」1波と4波が重なったダイアゴナルになってしまうリーディングダイアゴナルも幾つか観察するに至った。

そのような理由から、「エリオット波動研究」では88ページや131ページのような説明をすることになった。

ところが、2005年に改訂された「Elliott Wave Principle」の第10版には「リーディングダイアゴナルには3-3-3-3-3型と5-3-5-3-5型の2つがある」という記述になっていることを「エリオット波動研究」上梓後に気付いた。ここで改めて「リーディングダイアゴナルは3-3-3-3-3が認められているんだ」という意識の下、出現するリーディングダイアゴナルをカウントしていくと、ほとんどすべてのリーディングダイアゴナルが3-3-3-3-3構成であることを認識したのである。

それまで、無理に5-3-5-3-5とカウントしていたから3波目がダイアゴナルにしか見えなかったリーディングダイアゴナルも、3-3-3-3-3とカウントし直せば、副次波全てがジグザグまたはジグザグの複合形として認識できることも分かった。

2017年の「Elliott Wava Principle」第11版でもリーディングダイアゴナルに関する記述は第10版から変更はない。

ちなみに当研究所の波動観察記録によると、18年1月以降のリーディングダイアゴナルはあらゆるディグリーで3-3-3-3-3型のみが出現したことになっている。つまり、現実には5-3-5-3-5型のリーディングダイアゴナルはほぼ出現しないと考えてよいのではないだろうか。

令和元年7月29日記

文責 有川和幸