一般社団法人 日本エリオット波動研究所

Japan Elliott wave research institute

メルマガ第153号全20ページ(令和2年12月5日発行)より抜粋

December 26, 2020
メルマガダイジェストでは、毎号15ページから30ページの分量があるメルマガの中から、その時点での波動の進行想定に関するチャートが掲載された任意の1~2ページを抜粋して紹介しています。 進行想定は随時更新されていくため、現在は別の想定がメイン想定となっていることがしばしばあります。それは最新版のメルマガにてご確認いただけます。 進行想定とは、その時点のチャートをエリオット波動原理のルールやガイドラインに適合させた結果であり、相場予想ではありません。

今更言うまでもないことだが、エリオット波動原理では波動がフラクタルになっているというのが基本概念であるから、全ての波動はどこまで大きく拡大しても必ずそこにはエリオット波動原理で規定された波形がルール通りに存在している(ことになっている)。よって、波動を細分化したカウントができないときは元のカウントが間違っていることになる。
実際、ラルフ・ネルソン・エリオットが波動原理を発見した際に分析の対象にしたのはいまさら言うまでもないことだが、エリオット波動原理では波動がフラクタル構造にアクスヒュートン指数などの株価指数であり、FXやドルインデックス、長期金利、コモディティのチャートにエリオット波動原理が適応できるのかははっきりとは分かっていない。少なくとも超長期(50年以上など)のそれらのチャートにはエリオット波動原理は通用しそうにないというのが当研究所の見解である。
波動のフラクタル構造という原則を当てはめるなら、超長期のチャートに適用できないものは短期であっても適用できないことになる。
そうしたことから、株価指数以外の波動カウントは常に参考程度とする方針を取っている。それは今回も例外ではない。仮に今回、ドル円、ドルインデックス、ゴールド、米国長期金利などが想定通りに動きでもしたら「株価指数以外のチャートも短期間ならエリオット波動原理が適用できる」ことの証拠の一つになるだろう。

さて、今回はしばらくメルマガで解説していなかったナスダック100指数について見て行きたい。

現在のメインカウントはこのようにこれまでのものから大きな変更はない。(週足)
③が延長していることから、「波の均等性」ガイドラインに当てはめてみると、⑤の終点は2021年5月末の13800ポイントという数字が出てくる。

ここで今一度⑤の部分に注目してみよう。
⑤の部分は次のようになっていて、現在は副次波(3)が進行中とカウントできる。(日足)

(1)の部分はどう見ても3波動のジグザグに見える。
その内部はダブルジグザグが複雑に繋がった次のような構造をしているとカウントできるだろう。(4時間足)

細部まで丁寧に波動を見ていけば、(1)を単純な5-3-5のジグザグとカウントすることは不可能であるし、そのようにカウントしている分析者は自らの怠慢もしくは不正確さを露呈していることになるだろう。

問題は(2)の部分だ。
次のようにカウントすれば(2)はダブルジグザグと認識できる。(1時間足)

(1)と(2)がともにジグザクの複合形であることから、⑤はダイアゴナルで進行中であると推測できる。それが6ページの下のカウントの根拠である。
しかし(2)が次のようなインパルスだったらどうなるだろう。(1時間足)

その場合は次のように④波がランニングフラットであるとカウントできるのではないだろうか。(週足)

ランニングフラットはレアな波形とされるがそれが出現するのはメジャー方向の力が強い場合であるとされている。この場合、メジャー方向とは、③や⑤のトレンド方向のことである。上のチャートでは④波の終点は今年3月のコロナ安値であるが、その後のメジャー方向の勢いが強いということは衆目の一致するところだろう。
だとすれば、現在は3月のコロナ安値を始点とする⑤波が何らかの波形で進行中ということになる。

では、3月のコロナ安値からの波動はどのようにカウントできるかと言えば、例えば次のようなものがある。(4時間足)

3月のコロナ安値から9月高値までがジグザクである。

その場合は現在は次のようなダブルジグザグが進行中と考えられる。(4時間足)

或いは、3月のコロナ安値から9月高値までを次のように5波が延長したインパルスとカウントすることもできる。(4時間足)

このカウントをベースとすると、3月のコロナ安値からは次のようなジグザクが進行中という想定になるだろう。(4時間足)

つまり、いずれのカウントでも⑤がインパルスとして進行中という見方をするのは困難である。以上のカウント例のように、3月のコロナ安値からの波動がダブルジグザグまたはジグザグで進行中であるとすれば、それは⑤波がダイアゴナルを形成中であり、現在はその(1)波を進行中であると考えるのが妥当であろう。