一般社団法人 日本エリオット波動研究所

Japan Elliott wave research institute

メルマガ第157号全21ページ(令和3年1月9日発行)より抜粋

February 7, 2021
メルマガダイジェストでは、毎号15ページから30ページの分量があるメルマガの中から、その時点での波動の進行想定に関するチャートが掲載された任意の1~2ページを抜粋して紹介しています。 進行想定は随時更新されていくため、現在は別の想定がメイン想定となっていることがしばしばあります。それは最新版のメルマガにてご確認いただけます。 進行想定とは、その時点のチャートをエリオット波動原理のルールやガイドラインに適合させた結果であり、相場予想ではありません。

改めて言うまでもないが、「波動の進行に伴い当初の想定と違った波形になるように見えたら即時カウント及び進行想定を見直す」ことが失敗しないエリオット波動原理の活用方法である。
11時現在では、次のように間もなくダイアゴナルの3波目が完成するように見えている。
(これも波動の進行に伴い変更する可能性は大いにあるが)

問題はダイアゴナル2波目の(x)波部分のカウントである。

従来は次のようにトライアングルの(iv)波とそれに続くスラストの(v)波であるとカウントしてきた。

だが、スラストにしても小さ過ぎることや、225採用銘柄の動きなどから(詳細はオンラインセミナーにて)、このようなスラスト説にも疑問を抱いていた。

現在は当該部分を次のようにカウントしている。

(x)波全体としてはabcジグザグである。
b波はフラットが二つ並んだダブルスリー(ダブルフラットとも言う)になっていて、そのⓍ波はジグザグだが、さらにその副次波(B)波がトライアングルになっている。

波動はフラクタルになっている(はず)だから、どんなに小さな部分でも必ずこのように全てエリオット波動原理のルール通りの波形が出現する(ことになっている)。

最近YouTubeなどで全くエリオット波動原理を理解していない複数の人が、ページビュー数稼ぎのためなのか商材を売るためなのか知らないが酷いエリオット波動解説をしているようだ。
中にはエリオット波動「原理」のことをエリオット波動「理論」と平然と連呼している人もいる。ラルフ・ネルソン・エリオットが書いたのは「principle」であって「theory」ではない。一度も原書にあたっていない人だということがすぐに分かる。

そうした人たちの解説に共通するのは、波動のフラクタルを確認していない点だ。インパルスの1波、3波、5波は必ず推進波でなければならないし3波は絶対にインパルスでなければならない。しかし、YouTubeで解説されているカウントは3波の部分がインパルスになっていないことが多い。

先日出演の機会をいただいたラジオでも言及したが、エリオット波動原理のルールやガイドラインなどほとんどの人は知らないためデタラメな解説をしても気付かれることはまずない。日本テクニカルアナリスト協会のホームページにさえ「第1波は通常5つの波の中で最も短く」とデタラメを平気で書いてある。日本テクニカルアナリス協会の解説が正しいのなら通常第2波は第1波よりも大きいことになるが、それが完全にルール違反であることは当メルマガの読者なら誰もが瞬時に気付くはずだ。個人のブログなら「ミス」で済まされるかも知れないが、テクニカルアナリスト認定試験の主体である協会の記述としてはお粗末というしかない。それほどエリオット波動原理が正しく理解されていないということの証左であろう。

YouTubeやブログなどのエリオット波動分析が正しいかどうかを見分ける一番簡単な方法は副次波が正しくカウントされているかどうかを確認することだ。副次波もそのまた副次波もフラクタルになっていなければそのエリオット波動分析は明らかに間違いである。

チャートという「暗号」を解読するために世に中には様々なテクニカル分析手法がある。エリオット波動原理は指数のチャートの「暗号」を解き明かすのに有効だと解釈されている。「暗号」を解読するための「鍵」がルールやガイドラインである。よって、「鍵」が違っていたら「暗号」は正しく解読できない。問題はその「鍵」がほんとに正しいのか分かっていないことだ。それを解明するにはまずすべてのチャートに「鍵」を正しく当てはめて問題点を抽出していく必要がある。当研究所が行っているのはその作業であり、当メルマガはその作業の中間レポートである。

よって、当メルマガは今後の株価予想だけを知りたい方には非常に退屈な中身となっているし、読むのも面倒だろう。しかし、そうした方にもエリオット波動原理を正しく理解をしていただければ有難いと思う。そうすれば、どのユーチューバーがインチキでどのユーチューバーがまともであるのかの判別はできるだろう。ちなみにラルフ・ネルソン・エリオットが海で波の動きを見て波動原理を発見したというのは後から誰かが考えた作り話である。エリオットの著作にそのような記述をした箇所は発見できなかった。
ついでに言えば、「フィボナッチ級数」という用語を使う人もエリオット波動原理を正しく理解していないばかりか数学の基礎知識さえも持っていない。原書には「The Fibonacci Sequence」と書いてある。正しく訳すと「フィボナッチ数列」である。そもそも「級数」とは数列の項の和のことであり、「Sequence」を「級数」と翻訳することなどそもそもできない。こんなことすら知らない人が大金を取ってテクニカルを教えているのが残念ながら日本の現状である。

9日の朝になった。
まずは、ドルインデックスから確認しておこう。

現時点では、厳密性を欠いてはいるが次のカウントのほうを暫定的にメインとしておきたい。(4時間足)

(15分足)

(i)波がリーディングダイアゴナルとして完成したところだろうか。

続いてドル円(4時間足)

このようにトライアングルの(E)波まですでに完成し、円高局面は終了したというのが現時点のメインである。

5分足で直近の動きを見ると暫定的ではあるが、次のように上向きの小さなインパルスが出現したようにカウントできる。

(E)のYの(c)のvのⒸは拡大型ダイアゴナルとカウントしているから、そのカウントが正しければⒸ完成後は急速にその始点(紫線)まで戻ると想定される。(30分足)

一方で、米国長期金利は6ページに提示したカウント及び進行想定をそのまま継続したい。
(4時間足)